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発行日時
2018-1-12 23:52
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5か月振りに悪化した景気ウォッチャーと黒字が積み上がる経常収支!
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本日、内閣府から12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から11月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.2ポイント低下して53.9を、先行き判断DIも▲0.7ポイント低下して52.7を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆3473億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の街角景気、現状判断指数が5カ月ぶり低下 家計が悪化
内閣府が12日発表した2017年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比0.2ポイント低下の53.9と、5カ月ぶりに悪化した。家計動向のマインド悪化が目立った。内閣府は基調判断を「緩やかに回復している」で据え置いた。
指数を部門別にみると、家計動向が前月比0.4ポイント低下の52.3となった。小売り、飲食のほかサービスの悪化が目立った。雇用は60.7と引き続き高水準だったが、前月に比べると0.6ポイント低下した。一方で、企業動向は55.7と0.4ポイント上昇した。
街角では、家計動向について「前月まで好調に推移していた紳士及び婦人防寒衣料が若干失速している」(東北の百貨店)との声があった。「宝飾品や高級ブランド品、美術品といった高額品の販売単価が落ちてきている。さらに、販売量も減少している」(近畿の百貨店)、「イベントを実施したが首都圏のファミリー層の集客が弱い」(甲信越の遊園地)との指摘もあった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は0.7ポイント低下の52.7だった。悪化は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用の全てが低下した。企業動向について「運送業者の手配が困難である」(東海の化学工業)といった声があった。
17年11月の経常収支、1兆3473億円の黒字 貿易黒字は縮小
財務省が12日発表した2017年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆3473億円の黒字だった。黒字は41カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて795億円縮小した。対前年同月のマイナスは5カ月ぶり。輸入の増加で貿易収支が黒字額を縮小したことが響いた。
貿易収支は1810億円の黒字となり、黒字額が前年同月に比べて1591億円縮小した。原油価格の持ち直しで原粗油などの輸入が伸び、輸入全体で17.6%増加した。半導体製造装置などの好調で輸出も13.9%伸びたが、輸入の伸びが上回った。
サービス収支は417億円の黒字と、黒字幅が前年同月比218億円縮小した。昨年あった大口案件の受け取りがなくなり、「その他業務サービス」の赤字幅が拡大したことが響いた。旅行収支は1485億円の黒字と同月としては過去最高の黒字となった。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は1兆3298億円の黒字となり、黒字幅が1249億円拡大した。円安で海外子会社から受け取る配当金が増えた。米金利の上昇を背景に債券利子の受け取りも増加した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、景気ウォッチャーの現状判断DIは昨年2017年7月以来5か月振りの低下を示しましたが、依然として50を上回って高い水準にあります。3つのコンポーネントのうち、家計動向関連が前月から▲0.4ポイント低下し、雇用関連も▲0.6ポイント低下しています。企業動向関連は製造業が+2.1ポイント上昇した一方で、非製造業は▲1.3ポイント低下し、全体として+0.4ポイントの上昇を見せています。現状判断DIが5か月振りに低下したとはいえ、まだ高い水準にありますので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかに回復」に据え置いています。
ただし、注意すべき点を指摘すると、引用した記事にも強調されている通り、家計部門の停滞感です。最近の長期にわたる景気拡大において、国民の間での景気拡大の実感が伴わない要因のひとつとして、企業部門に比較して家計部門の消費が伸び悩んでおり、その大きな原因が低調な賃上げとそれに起因する所得の停滞にあると、昨日のブログでも指摘しましたが、この景気ウォッチャーの家計動向関連DIと企業動向関連DIの水準にも、かなり明確にこの傾向が現れています。すなわち、2015年11月から2年余りに渡って家計動向関連DIが企業動向関連DIを下回って推移しています。しかも、その2年余りの間で昨年2017年10月が家計と企業の差が最も大きく、▲6.2ポイントに達しています。好調な企業部門から賃上げという形で家計部門に購買力を移転しなければ、国民の間での景気の実感は上がらないおそれを指摘しておきたいと思います。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。そのひとつとして、経常収支は昨年2017年10月から11月にかけて、季節調整していない原系列の統計でも、季節調整済みの系列でも、いずれも黒字幅を縮小させているんですが、家に引用した記事ではいかにも、国際商品市況における石油価格の上昇による貿易収支の黒字幅の縮小のような印象を受けますが、季節調整済みの系列では貿易収支よりはサービス収支の赤字拡大の方が大きいことが上のグラフの緑色の積み上げ棒グラフから、やや細かいので見にくいものの、読み取れるんではないかと思います。詳細な季節調整済みの統計を見ると、むしろ、2017年10月の統計においてサービス収支のうちの知的財産権等使用料がイレギュラーにプラスになっていた、と指摘されています。それが、2017年11月には元のマイナスの赤字に戻った、ということのようです。いずれにせよ、経常収支は黒字幅が縮小したとはいえ、震災後のような形ではなく、特に懸念すべき材料ではないと私は受け止めています。



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