アジアメディア上場廃止の検証-第四回
東証に訴えられたアジアメディア前CEO
最終章のつもりで書きましたが、まだ書かないといけない事があったので、第四章にしました。
東証は7月末の時点からアジアメディアの崔建平前最高経営責任者(CEO)に対して刑事告訴を検討していましたが、8月1日になって北京市の公安当局に刑事告発したと発表しています。これまで東証が元経営者を直接告発した事は全く前例が無いと言う事で、第1号の刑事告発となりました。第1号の中国企業上場は、第1号の刑事告発を行う結果になり、第1号の上場廃止も既に発表されました。
東証のホームページによると、東証はアジアメディア社に対して、全経営者である崔氏の責任を追及すること及びその進捗状況について開示することを求めてきたそうです。しかし、アジアメディア社は、崔氏に対して具体的な責任追及を行おうとしなかったと言う事で、やむなくアジアメディアを保有する株主と投資者のために、北京市公安局に対し告発状を提出し、崔氏に対する刑事責任の追及を求めたという事です。
私なりに東証がアジアメディアを上場廃止を待たずに早々と告発した理由を考えると、3つの理由があると考えています。ひとつ目は、アジアメディアが英国バミューダ諸島に登記上の住所を持っているので、被害を被った投資家がアジアメディアを訴えようとしても、手続きが非常に複雑になるので訴えにくい点です。2つ目は、アジアメディアを直接訴える事が難しい投資家は、東証に対して審査体制などの問題点を訴える可能性がある点です。3つ目は、アジアメディアを訴える事によって、問題を明確化して東証の信頼を回復させたいという狙いがあった事です。
結論を言えば、東証自身もアジアメディアを上場させた事は大失敗だったと考えているに違いありません。第1号として上場させたアジアメディアが僅か1年半で上場廃止となった事で、外国企業やマザーズに対する投資家の信頼を大きく損ねる事になりました。また、東証経営者を始めて自分自身で訴える事になった事で、そちらに人材や資金を割かなくてはならず、結果としてマイナスの仕事が増える事になりました。2008年1月に設置された北京の駐在員事務所は、それほど人員が居るとも思えず、本来の設置目的以外の仕事に時間を取られるでしょう。
アジアメディアの子会社の口座からは、アジアメディアがホームページ上で発表しただけで、8月27日現在までに担保として、1500万人民元:2億8316万円(6月26日)、2000万人民元:3億1201万円(7月18日)、1500万人民元:2億3580万円(7月25日)の合計5300人民元:8億3316万円が消えています。残る5390人民元:8億4730万円に対しても担保が設定されており、海豚科技が借金を返さなければ、担保権は2008年11月20日まで順次実行されていきます。そして、日経BP(2008年7月30日)によると、既に海豚科技はオフィスに誰もおらず、ホームページも閉鎖しているようです。この状況では返済の見込みは皆無と考えるべきで、アジアメディアは約16億の負債を全て肩代わりしたと言えます。最小限に見積もっても、既に8億は消えました。
アジアメディアの企業規模はと言うと、売り上げが2007年度の決算で65576千米ドル(約70億円)であり、営業利益が13594千米ドル(約14億円)で、経常利益が13707千米ドル(約14億円)となっています。この数字を見ると、担保として設定された約16億円であったり、既に消失してしまった8億円は、アジアメディアの経営に大打撃を与える事は確実です。更に言えば、取引先からも信頼を失うので、企業としての存続自体が危うくなるでしょう
北京市公安局への告発状提出について
-アジア・メディア・カンパニー・リミテッド-
http://www.tse.or.jp/news/200808/080801_g.html
当社子会社の銀行定期預金に対する担保権追加実行に関するお知らせ(7月25日)
http://www.asiamedia.jp/jp/news/press_release_July25jp%20clean_TSEcl.pdf
当社子会社の銀行定期預金に対する担保権追加実行に関するお知ら(7月18日)
http://www.asiamedia.jp/jp/news/press_release_July18_jp_cl_TSE.pdf
当社子会社の銀行定期預金に対する担保権追加実行に関するお知ら(6月26日)
http://www.asiamedia.jp/jp/news/press_release_July18_jp_cl_TSE.pdf
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