ダヴィンチ・ホールディングスが経営危機に陥っているというニュースが出回っています。この会社は、日本がバブル崩壊で不良債権の処理に困りきっていた1998年に設立されて、その後の日本経済の回復に乗って急成長した不動産投資会社です。2001年には不動産投資顧問業として初めて大阪のヘラクレス市場に株式公開を果たしています。しかし、2009年12月期の連結最終損益が264億円の赤字(前の期は179億円の赤字)となり、前期末時点で約110億円の債務超過に陥った可能性が高いと発表されています。
この金子社長の最大の誤算は2つあると考えています。1つ目の誤算は、同じ地域の東京において、同時に複数の物件を所得したことです。米国で長く資産運用していたという事ですが、自己資産に依らずに運用するのは頼もしいのですが、レバレッジが効いていますので、同じ地域であれば価格が同時に下落した時の影響を大きく被ってしまいます。2つ目の誤算といえば、もともと物件を安く買うという方針で成長してきたダヴィンチが、2006年9月20日に高値でパシフィックセンチュリープレイス丸の内(オフィス部分)を2000億円という高値で購入してしまいました。結局この物件は2009年12月に1400億円で売却していますが、僅か3年間で600億円もロスを出した事になります。
日本の国債は、みんなの貯蓄が1400兆円あって、ほとんど民間銀行が持っているから安全だ。自分の国民が自分の国の国際を買っているので、日本が破産する事はあり得ない。こんな頭の悪い議論をしている学者さんを沢山見かけます。実際には、自分の国で発行した国債を国民が購入したとしても、これは大きな問題になります。どういった問題かと言えば、流動性の問題です。
最初に借金をした時には、税収から利息を支払う事なんて簡単でした。しかし、借金が膨大に膨らんでくると、利息を支払っていたのでは、国の予算が回らなくなってしまうという事で、利息返済もしくは借金返済の為に借金を組む事になります。借金は雪だるま式に膨らんで行く事になります。どうして国民からの借金が雪だるま式に膨らんで問題かと言えば、税収の中から借金を返却する部分は「固定費用」という形で固定されるのです。
国の収入は決まっているので、支出の一部の用途が固定(借金返済になる)された場合には、使える支出はどんどん減っている事になるのです。実際には国民に借金しているとは言いながら、実は公共事業であったり、福祉事業などに使われる予算は、税収に対して少しずつ減っているのです。それを新たな国債発行を行ってしのいでいますが、新たな国債発行は返済を更に増やす事になるので、返済が膨らんだ事で、更に使えるお金が狭まるという悪循環を生み出します。
マクロ経済では、政府が金融政策と財政政策をバランス良く使って、経済を一定水準で成長させる事が良い事とされています。しかし、日本の場合には既にゼロ金利が長い間続いており、金融政策は機能しておらず、財政政策についても国債発行によって財政政策と言えるほど大規模に経済刺激に使えるお金というのは、政府にほとんど見つけられないと言えます。単なる予算を組むだけでも国債発行に頼らざる得ない状況ですから。
国債を発行すれば、するほどに国債として返却する費用が増えるので、返却の為に固定される国家予算というのは増えていきます。国債の返済を維持するためには、国債の返却は「絶対」なので、国債の返却以外の場所で国家予算を組まなくてはいけません。ただ、国債の返却額が増えると、その余力が小さくなっていくので、国家予算自体が縮小するのです。更に税収が大幅に落ち込んでいるので、ダブルパンチで国家予算の余力はほとんど無くなったと考えるべきでしょう。しかし!更に子供手当てなどという事で福祉政策(子供手当てや高齢者介護・年金など)が打ち出されて支出が増えるので、赤字国債の額は更に膨らんで、将来返済される額が更に増えます。そうすると、将来に国が管理出来るお金というのは、ほとんど残っていない、つまり借金を返して国債の価格を維持するだけの為に税金を取るという構図になるのは時間の問題です。
借金を返すのは、働いている若い人たちです。若い人たちよ、それでも日本で働くかい?!
もう、ここまできたら既に国内で解決するのは不可能と考えるべきでしょう。海外で国債を販売するという方法が言われる事がありますが、ギリシャのように3兆円程度を海外投資家に買って貰って解決するほど日本経済の規模は小さくありません。日本は世界で2、3位の経済大国ですので、日本で必要になる金額を調達出来る国は存在しないと考えるべきでしょう。
自滅への道を歩んでいる日本経済は、今後どうなるのでしょうか。
11月14日に三菱UFJが年内に公募増資するという発表がされています。その規模というのが驚くべき事に公募増資1兆円という超大規模なものです。財務基盤を強化すると言っていますが、これだけ大規模な増資になると株式市場は反応せずにはいられません。同社の時価総額は11月13日終値ベースで5兆9173億円であり、発行株式数は約17%弱増えてしまいます。
三菱UFJと言えば、昨年12月までに普通株で約4千億円、優先株でも約3900億円を調達したばかりです。今回は、それに引き続いてそれを超える規模の増資になります。三菱UFJの自己資本比率は、6月末において12・96%であり、国内金融を行うべき4%、国際金融を行うべき8%はクリアしています。
11月中旬には、日立製作所も公募増資を行うという事を発表しています。日立製作所は、普通株の3000億円超の公募増資などを予定しており、こちらも金額もインパクトも大きいので、株式市場に少なからず影響があるものと考えられます。日経が1万円を再び割り込んで軟調に推移していいますが、円高などで日本企業の回復が難しい中では、これから更に軟調になる見通しもありそうです。
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