大衆向けウェブ誌として幅をきかせたGIGAZINE

GIGAZINEというサイトがあって、PV数を公表しています。このサイトは、ほとんどの文章が海外ニュースでソーシャルニュースなどでランキングに入っている文章を翻訳して、画像を無断で掲載しているというものです。画像なども、海外サイトを良い事に「引用」という事にして無断で掲載しています。
海外記事・写真の無断掲載(URLだけ入っているけど)なので、いずれこのサイトは潰れるかと思っていましたが、潰れるどころか逆にPVを大幅に伸ばしています。このPVを出せれば、広告料金だけで月に数百万円-1000万円を軽く超える(ウェブ広告費の多くは1ユニークユーザー1円と計算するのが普通)利益になります。更に引用だらけで取材費用、ユーザー管理費用などの負担がほとんど発生しないので、まさに「ぼろ儲け」状況でしょう。それでも別の多くの会社が同じ事をしないのは、この事が著作権の観点から見ると危険だからです。
GIGAZINEの公表アクセス数2010年2月のページビュー:5728万
ユニークユーザー数:1762万
2009年2月のページビュー:4872万
ユニークユーザー数:1440万
2008年2月のページビュー:2854万
ユニークユーザー数:921万
2007年2月のページビュー:1686万
ユニークユーザー数:622万1000
2006年9月のページビュー:1024万
ユニークユーザー数:364万5900
ここ1,2年でTwitterなどのソーシャル系メディアが強くGIGAZINEがこれほどPVを伸ばした背景には、Twitterであったり、はてなブックマーク、Facebookなどのソーシャル系からのアクセスが増えたからだと考えられます。ユーザーからすれば、コピーであろうが、画像の著作権に問題が起きていようが、面白い情報を見れれば関係ないのです。様々な大手の新聞社サイトが広告で成立しないほど苦戦していく中で、このGIGAZINEがページビューを増やした事は注目すべき事実だと思います。
若者は、新聞を読まなくなった一方で、ソーシャルメディアを通じて「大衆マガジン」に注目するようになった可能性があります。ビジネスには何ら役に立つとは思えないような芸能人の動向であったり、世界の誰が面白い失敗をしたとか、美女が路上で裸になったとか、そんな感じの社会の雑学・事件などを扱ったいわゆる「三面記事」ばかりを読むようになったという事かもしれません。ここ1、2年でその傾向は特に強まったと感じています。
メディアが生き残る為には、どうすれば良いでしょうか?それは、なるべく低品質の記事で、多くの人が閲覧して、広告費を出来る限り稼ぎ出せれば良いのです。YahooやMixiのように他のサイトで生成された記事を「コピー」か「要約」するのが最も安く稼ぎ出せます。次に安くて良い方法は、GIGAZINEのように「無許可で翻訳、無許可で画像を貼り付け」という方法でしょう。最後に日本の大手新聞社が行っているように「低品質でも大量に」情報を流すという手法もアリです。
ソーシャル大量投稿型のNAVERまとめ
2006年に韓国系で「市民が記者に」という事でオーマイニュースというサイトが日本に上陸しました。しかし、日本では2chなどのネット文化が強くあり、質の低い個人のニュースにアクセスが集まらずに撤退となりました。
韓国最大手検索サイトのNAVERが2009年に再上陸して、打ち出したNAVERまとめの特徴は、ニュースなどをユーザーが簡単にまとめられるようにしていて、その「気軽さ」がウリとなっています。
面白いネタを会社がガンガン出すのではなくて、完全にユーザー側が主体となって「誰かがまとめる」という形を取っています。これは、ソーシャルメディアが単に情報の受け手になるのではなくて、今度はユーザーが(金銭のやり取りを含んで)情報の発信側になってきた事を意味しています。低品質で大量にというのであれば、プロの記者である必要は何処にもありません。YAHOOの編集者が新聞を軽くまとめてヤフーニュースに出すのと、NAVERまとめでユーザーがまとめるのとでは、出来上がったものの質はほとんど変わらないからです。
低品質でもとりあえず翻訳が欲しい
せっかくなので、もうひとつソーシャル系のサイトを紹介しておきたいと思います。翻訳系ソーシャルサイトのConyacです。このサイトは非常に面白いサイトで、少しのお金を出して翻訳して欲しい人と、少しのお金で翻訳しても良い人を気軽に結びつけるというサービスです。
無料で翻訳というと、誰も真面目に翻訳してくれないだけでなく、質も保証されないので、 有料で翻訳を依頼するという事になっています。大量にくる翻訳案件から自分の空いている時間に翻訳出来そうなものだけ翻訳すればいいという気軽さが最高です。翻訳も毎日のように時間を作って少しずつ行っていれば、外国語のレベル、翻訳の腕も自然と上達します。
イギリスの高級紙と大衆紙
イギリスは、貴族を中心とした階級社会を形成しています。イギリスでは、頭脳派と大衆派は、読む新聞まで異なっているようです。お買い物するスーパーがウエイトローズ(高級)とテスコ(低級)に分かれているように。高級紙と呼ばれる部類に入るのは、ガーディアン(約28万部)、デーリーテレグラフ(66万部)で価格も1ポンドよりも高いです。比較されるのが「大衆紙」と呼ばれるもので、サン(約290万部)、デーリーメール(約213万部)、デーリーミラー(約122万部)などとなっていて、1ポンド以下(0.5ポンドほど)で買えます。日本の大手新聞は、イギリスの高級紙と大衆紙の中間に位置していると思いますが、価格はどれもイギリスの高級紙並みです。読売新聞(約1000万部)、朝日新聞(約800万部)、毎日新聞(約300万部)、日経新聞(約300万部)となっているので、読者がイギリスとは比較にならないほど多いことに気がつきます。そして、これが日本の思想統一に一役かっている事は確かでしょう。
どっちつかずの日本の新聞日本は「一億総中流」と言われているほどですので、日本の大手新聞というのは、高級紙にも付かず、大衆紙にも分類出来ないような「中間」を相手にするような内容となっています。これを言い換えれば、もっと質の高い新聞を求めている読者層にとっては、完全に「物足りない文字不足の記事」になっており、大衆紙のような面白い記事を求める読者にとってみると「堅苦しくて詰まらない」という記事が並んでいるという事になります。多くの人が、見出しだけ見て記事は読まないような状況になっていて、10分もかからず読み終える新聞を「高いな」と思う事でしょう。
日本の大手新聞社の報道をウェブ上で見ると、海外の新聞社のウェブと違って、驚くほどに文字数が少ない事に気がつくと思います。まさに「要点だけサクサク」という形で書かれています。その割には、主観性が非常に強く出ていて、客観性に乏しい内容となっています。大手新聞がウェブ上で公開している文章の中には、非常に短い文章で、非常に低品質で、何を書いているかさえ分からないような文章がある事も事実です。大手新聞社がユーザーを分け切れずに混乱している場合がある事を伺えます。
若者が3面記事を好んで見るようになった?若者が3面記事を好んで見るようになったか?と言えば、それは分かりません。ただし、少なくともGIGAZINEのような大衆WEBマガジンのアクセス数は増えているようなので、こういった需要はあるのでしょう。ソーシャルメディアでは、面白かったと言う事で、何の役にも立たないであろう記事を友達に勧めたりするのです。多くの大衆がウェブに求め始めたのは、難しいお話ではなくて、もっとバラエティに富んだ楽しい話題です。
メディアとしての新聞社の生き残り
紙面媒体の売れなくなった新聞社が生き残る方法としては、更に「読者層」細分化が求められる事になると思います。ウェブ上でも、お金を支払ってでも高度な内容を読みたい読者も居れば、大衆紙のような内容を無料で読みたい読者も居ます。これは、別にメディア媒体に限った事ではなくて、広告を出す側が安さと低品質を求める大衆に特化していきます。例えば、大手航空会社などが相次いでLCC(ローコストキャリア)を子会社化するなどしています。こうしたLCCに対応するメディア媒体として、大衆紙は欠かせない存在になりうるでしょう。
若者の所得上昇が「少ない」社会
生まれた境遇を覆す事が難しいのを「階級社会」というのであれば、日本はそうなりつつあると言えるのかもしません。日本が経済成長している時であれば、若者がしっかりと頑張っていれば、収入が増加していって、将来は家族と家を持って、ある程度の資産形成していける見込みが立っていました。しかし、今の若者がひと昔前と違うのは、頑張った所で収入が増加せず、資産形成に失敗する可能性があるという事です。大手企業であればまだしも、日本の90%以上を占める中小企業は、今後も優良顧客を獲得する事は至難の業です。
日本の多くの富裕層は高齢者です。高齢者向けのサービスを展開した方が今は儲かるのですが、多くの若者は年齢を重ねても高齢者と同じような消費を行う事は出来ません。大手新聞は、どんどん高齢者向けのものになって、それが若者の新聞離れを加速させる事にもなるでしょう。結局は、若者にお金を得る「機会」をしっかりと持たせて、経済活動をする「チャンス」を与えるべきなのでしょうけど、現実の日本はそうなっていません。日本の長者番付は、60を過ぎた老人がずらーりと。東京都知事に至っては、78歳で再選ですからね。これでは、若者にチャンスなんかある訳ないですって。
多くの若者は、78歳の自分のおじいさんよりも年齢が上の人にこき使われる事によって、自分の若い精神を保つ事が出来なくなります。効率の悪い働き方が蔓延して、労働時間はどんどん長くなって、自分の時間を失った若者は、時間も金も無い状況で、大衆紙などを見て楽しむしかないのかもしれません。子供が親の背中を見て育つとすれば、もし自分の親が大衆紙ばかりを見ている親であれば、いくら勉強をしろと言われても子供が勉強するようになるとは思えません。子供が接触する情報が大衆紙であるか、高級紙であるかという部分は大変に重要になるでしょう。子供は生まないほうが良いという考え方が蔓延して、少子化が加速するかもしれません。
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