上海百貨店競争の現状と戦略

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上海百貨店競争の現状と戦略

百貨店のビジネスモデル自体がかなり危うい事になっています。例えば、上海で高級ブランドを扱っている恒隆広場や正大広場は、開発業者が開発した物件に直接テナントを入れている形式を採用しており、土地の価格が値上がりすればするほど、テナント料金を上げる事が出来るので利益となります。逆に、伊勢丹のようなビルを借り上げる形式では、地価が値上がりすれば支払う賃料が上昇して経営を圧迫する可能性がありました。

この点については、不動産ディベロッパーとして貸し付ける立場に立てば、百貨店とは立場が全ってきます。例えば、浦東新区に出来た森ビルは、ほとんどテナントが埋まらなかった場合においても、それほど大きな固定費用はかからないので、資金力に任せてじっくりとテナントが埋まるまで待てば良いという事になります。森ビルの質をすれば、テナントが後で埋まる事は間違い無いでしょう。じっくりと待っている間にも、上海の土地価格が上昇する事で、賃料を上昇させて更に稼ぐ事が出来ます。

 

百貨店は土地の価格が高い場所においては、同時に売り上げも高くなくてはやっていけません。例えば、新宿の高島屋タイムズスクエアは、年間100億円以上の賃料がかかっています。これで2000億円が予想された売り上げが恒常的に1000億円を下回っているので、この店舗は厳しい赤字が続いています。実際に厳しい経営となっているのは、この店舗だけではないんですけど。

高島屋が2012年に中国の上海に大型百貨店を出す事を2010年2月に発表していますが、高島屋の水準で多くの百貨店がひしめく上海において対抗していけるかは不明です。ただし、国内の百貨店が不振を極める中で、国外に行かないよりは行った方が良いというのも事実だろうと思います。伊勢丹が積極的に中国に展開する中において、ずっと中国に展開しなかった高島屋は、かなりの遅れをとっている可能性があると思っています。しかも、ほぼ独資で頑張ろうとしている所に無理が無ければいいのですけど。

高島屋の2010年2月の営業報告を見ましたけど、百貨店の不調は噂通りで、ほぼ全店がマイナスというかなり厳しい状況になっていました。日本国内が厳しくなってから中国に行くのはちょっと遅すぎたかなと思います。あと10年ぐらい前に上海に行く事を決断していれば、稼ぐ機会もあったのではないかなと思います。
2010年2月の営業報
http://www.takashimaya.co.jp/corp/ir/tanshin/091225/kessan.pdf

日本で高級部類に属する百貨店の高島屋は、2009年2月23日付けで「上海高島屋百貨有限公」を設立しており、上海に百貨店を出す準備を進めています。発表されている株主構成としては、㈱髙島屋25%、シンガポール髙島屋50%、東神開発㈱25%となっています。東神開発㈱は高島屋の開発物件などを担っている日本のディベロッパーですので、実質的に100%外資(日系)出資という事になります。

上海のデベロッパーである中華企業有限公司とその子会社の上海古北(集団)有限公司と出店に関し基本合意した事を2009年2月に発表しました。高島屋は、このディベロッパーが開発した地下1階、地上7階部分(総面積40000平方米)に入ります。2011年末にビルを完成させ、2012年5月に営業開始されるそうです。徐匯区に近い場所で、日本の田園調布のような高級住宅地などもある場所です。

古北企業
http://www.gubei.com.cn/index.htm

中華企業(600675.sh)
http://www.cecl.com.cn/house/index.asp
1954年に国有企業として設立されました。1993年9月24日に上場しています。

高島屋「中国上海市への出店について」
http://www.takashimaya.co.jp/corp/info/topics/pdf/200902/090224.pdf

中国の百貨店の厳しさは、先に出店した伊勢丹が経験しています。上海華亭伊勢丹は、1993年に日本の百貨店として始めて上海に進出した百貨店です。2006年から2年連続の赤字が確実となった2008年12月末の高級賃貸契約満了を持って経営を打ち切る事になりました。伊勢丹が上海に出店した1993年当時は、上海に高級百貨店が少なかった事で人気を集めていました。しかし、18年を経た現在は上海の高級百貨店も珍しく無くなって経営状況の悪化が顕著となりました。

伊勢丹の決算内容を見ると、中国事業で比較的好調なのは成都伊勢丹だけで、その他の伊勢丹は売り上げが減少傾向にあります。そこで、伊勢丹は2010年入って全面改装を行い、中国初出店の日系ブランドをテナントとして大量に導入する事で、20代後半から30代後半までの働く若い女性を狙って展開する店舗に変更しています。

外資で出店している別の百貨店も厳しい状況となって、それを切り抜けている例もあります。
タイ系の不動産ディベロッパーであるCPグループが開発した正大広場の場合には、当時はあまり評価されていなかった浦東新区に進出して、痛い失敗をしています。2005年頃まで低迷を極めていましたが、そこからZARA、ユニクロなどの誘致を進めて、正大広場のテナント収入が2007年には2005年の4倍、来客数は1日平均4・5万人から10万人へと激増しました。正大広場が目指すのは、家族客という事で、当初の高級志向とはかけ離れた子どもから老年層にいたる消費者であるファミリー路線に展開する事によって、ファミリーが楽しめるエリアに変貌しました。

正大広場の司徒総裁は「ブランド構築において致命的な失敗があった」とされているように、新天地は歴史建築を背景にして国際的知名度も抜群の地域に変貌して成功しました。私も2005年に始めて新天地に行ったのですが、独特の雰囲気でコーヒーを飲みながら友人と会話するのは最高でした。恒隆広場の場合には、目が飛び出そうになるほど超高級ブランドの世界一の集積地として地位を確立しました。上海のローカル客が浦東エリアをショッピングスポットとして認知するには、まだ時期が早かったようです。

この戦略は、アジア最大級とも呼ばれる広い空間を利用して、アイススケート場、KTV、フィットネスクラブ、ビューティーサロン、児童教育機関、デンタルクリニックなどを次々に誘致して多機能とする事によって、来客数を増やすと同時に「滞在時間を増加させる」という事にも貢献しているという事です。近くに東方明珠電視塔があるという最高の立地条件を考えると、ファミリー向けという事は的を得ているように思います。

正大広場 総裁 司徒文聡氏
http://www.shwalker.com/biz/contents/biz_2_217_20071010152225.html


 

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このブログ記事について

このページは、ヒロポンが2010年3月22日 06:08に書いたブログ記事です。

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