その間違った相場を発見する方法ですが、人々と同じような方法論を取ってきて「自分が間違いを発見出来る」という事は非常に難しい事だと考えています。人間というのは、周囲の人と「協調」せずには生きていけず、その協調が情報源を画一化・同一化してしまうからです。多くの場合には、生活の為に故意に情報源を閉ざしていきますが、マーケットではこれは弱みになりますが強みとはなり得ません。ジョージ・ソロスなどは、自己の経験を活かして、人々がどちらの方向に動いていくのかを的確に見抜いていたと言えます。
>
多くの場合には、学力を上昇させてトップレベルまで至れば、それは他の人が持たぬ知識を持つという点において、他の人が判断出来ない項目を判断出来るようになります。ある一定の基準(学力など)を基に競争する社会の中で、その一定の基準の中で勝ち上がるパワーがあれば、それは人々の間違いを発見出来る可能性が高まります。
こういった意味で考えると、マーケットが作られてから一般大衆がその情報を知り得るまでの裁定を行うという事になります。ただし、事実上はこうした裁定取引は非常に難しい状況になっています。その理由としては、1)マーケットに流れる情報量が膨大になっており、1つの情報がどれだけの割合を占めるのか(どれだけの影響をマーケットに与えるか)不明確である。2)一度定まったマーケットの方向性が別の情報によって簡単に覆ってしまう。
このような状況を踏まえた場合には、マーケットの方向性は、自分で決めるのが最も利益率を高める方法であるという事に気が付きます。マーケットの方向性を自分が決めるという事は、情報の後追いを行わずに、自らの頭でマーケット自体を開拓するという事です。しかし、この事をストックマーケットで行った場合には、禁止事項に当たる可能性がある矛盾を生じます。
ストックマーケットは、そもそも裁定取引によって安定性に繋がりますが、その裁定取引がマーケットの方向を決定付けてしまうようになってしまうという事です。極端な話をすれば、大型のファンドが2つか3つある企業を買えば、その企業は上昇しますし、逆の事が起きれば低下するという具合です。こうなると、多くの投資家は企業価値よりも他者の動向を気にするようになります。ケインズは株取引を「美人投票」と表現しているように、本来の企業価値を図る指標が無い状況においては、裁定取引は実は最も合理的に機能するのです。
しかし、かつてオランダのチューリップバブルに見られたように、本来はそれほど価値があるとはとても判断出来ないにも関わらず、多くの人が「価値を持つ」と信じる事によっておかしな状況が発生しうる場合があります。これは、人間の判断というものが常に「不安定」である事を示しています。全体がこうした不安定な状況にあると、簡単に利害の対立が起こって戦争などが起こってしまうので、それを防ぐ為に国が巨大化して安定して現在に至っているのですね。
もっと極端な話をすれば、どうしてまともな教育を受けた事が無くて「汚いドイツ語を使う」ヒトラーに対して、聴衆が熱狂してしまったのだろうかという事です。これも、何が良いか悪いかという倫理観や長期的な視点に基づいて民衆が判断を下した結果ではなく、何が最も自分の利益になるかを各個人が判断しきれなかった、もしくは判断材料が無かった為に起こった悲惨な出来事でした。メディアもヒトラーがこれほど大きな勢力に成長するはずは無いとたかをくくっていました。
コメントする