搾取される日本の若者

| コメント(0) | トラックバック(0)
日本では、リーマンショック以後の経済悪化に伴って、新卒の採用を控える動きが広がっています。採用の厳選化と言われており、正社員で新卒採用される新卒学生は、一般的な学生よりも非常に優秀であるとされています。企業側は、学生の時から既にある程度優秀であり、かつ企業のお話を良く聞くという効率の良い人材を求めています。そうすれば、教育費用なども少なく済むからです。

優秀でもわがままだと企業は扱いに困ってしまうので、出来れば優秀かつ企業の言うとおりに良く動く人材を欲しています。企業は良く「自発的に動く人材が欲しい」と言いますが、自発的にというのは、与えられた指示がどんな分かりにくいものであったとしても、確認するなどを行って最小限の時間で最高の状態に自分で仕上げて持ってきてくれるような若手社員が求められます。これは、つまり上司の指示がどんなに変なものでも、上司の思うような常態に仕上げて持っていかないといけない。もっと言えば、上司がバカでも、その尻をぬぐって何とかしてあげなきゃならない。


正社員と派遣社員の格差拡大が叫ばれていますが、格差があるのは正社員と派遣社員ばかりではありません。若手社員と中高年の所得格差は、年功序列によって数倍あります。しかし、本当に若者が働く量と質が悪くて、若手社員が働く量と質がそれほど良いかと言えば、その点にも疑問は多々あります。多くの若者は、中高年と同じような生産性を求められていて、中高年社員の給料の為に一生懸命になって働いています。そういう若手社員でなければ、会社の中で生き残る事は難しくなってきているのです。会社が求めるのは、会社の話を良く聞く、かつ作業が早くて頭も良い若手人材で、そういう人が安い給料で働いてこそ年功序列が成り立ちます。

実は、そんな事に若者も気が付いていて「これじゃあやってられない」と思って離職する若者は増えています。若者が3年で会社を辞める事が話題になっていますが、生産は10年先輩の社員と同じ量の生産を求められているのに、給料は先輩の半分、部長の数分の1という状況では、確かに辞めたくなるでしょう。その上に「最近の若者は質が悪い」だの言われたらたまったものではありません。

会社側からすれば、相対的に高くなっている役員や部長の給料を捻出する為に、賃金が安い数多くの若者に最大限の働きをして欲しいと願っているのです。そして、彼らに働いた分の給料を将来的に保障などしようは思っておらず、将来的に出すと言う事を言い続けて、実際には永久に中高年社員の給料に行き着く事はありません。経済は低迷を続けており、給与上昇を抑える事が会社の生存となるからです。中高年社員は、実際には若手社員の両親の世代であったりするので、両親の所得による世帯間所得の格差も拡大します。

日本の現在の状況は、以前の英国に見られた「英国病」に良く似た状況です。第二次世界大戦以後のイギリス社会保障政策は、共産主義にかなり近いような大きな政府を実現して、人々の暮らしの安定化を行いました。最初は政府の力によって産業は安定して成長しましたが、その実施によって国民は高い福祉に依存したり、既得権益にしがみついて地位と収入を維持しようとしました。製品の劣化などからイギリスは、国際的な競争力を失います。英国の多くの企業は海外移転などを進めていき、英国経済は地盤沈下を起こします。

オイルショック以後の1976年にイギリスは財政破綻を起こしてIMFに支援を求めています。このことは、サッチャー政権(1979-1990)以後の新自由主義(ハイエクやフリードマンを参考にしたという意見もあります)によって改善が試みられます。所得税および法人税の実質的な引き下げと、消費税引き上げ、民営化、金融改革などは、小泉政権でもお手本となっている可能性があります。これらの政策は、保守色が強く出て金持ち優遇の面もあり、失業者の増加、地方都市の切捨てなどの一面を持っていました。

金持ちを優遇する事によって経済を再生させて、その事によって全体が恩恵を受けるという政策は、イギリスだけではなく、今後景気が悪化した世界各国で強まる事が予想されます。政府の財政を立て直す為には、官僚や公務員などを攻撃して、小さな政府を目指していくという発想は、経済危機によってかなり難しくなってきています。

日本は、小泉政権になってイギリス・アメリカのような政策を模倣していきますが、小泉政権もこれらの政策を途中で投げ出してしまします。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.chugoku-kabu.net/blog/mt-tb.cgi/175

コメントする


アイテム

  • 上海万博マスコットとGUMBY
  • 情報の格差
  • ユニクロロンドン
  • 上海中心
  • 中国117大厦
  • 日経平均株価
  • 中国国際航空2
  • 中国国際航空1
  • 中国国際航空
  • 損益計算書

このブログ記事について

このページは、ヒロポンが2009年10月 4日 19:14に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「激安化するノートパソコン市場」です。

次のブログ記事は「学歴社会の機能不全」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。