ユニクロは経営者を育てきれるだろうか

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ユニクロの欠点は、後継者を育てられていない点だという記事を読みました。沢田氏、そして玉塚氏とユニクロの中核を担った人材が離職する中で、実際には柳井社長の独壇場だったという事が明らかになっています。ユニクロのマネジメントシステム自体は「経営者を育てる」と言っていますが、実際にはワンマン経営者の社長が利益を上手に出す為のトリックに上手にハマル若者の姿があります。それは若くて優秀でかつ純粋な、力を持て余している人の力を「経営者になれる」と言って引き出すという手法です。優秀な人に投資して会社をコントロールするお金持ちの人たちと同じ構図ではありますが、直接上司として口出しするならば、もっとたちが悪いですね。

多くの経営者に対してシンドラー(第二次世界大戦中に数多くのユダヤ人を救ったことで有名)のように最終的に死の境から救ってくれると思うのは、不可能のような気がします。ユニクロの柳井社長を含めて多くの経営者は、柳井氏の発言に見られる「泳げない者は溺れればよい」というスタイルで経営を行っています。言い換えれば、業績を上げられない奴は死ねという事です。更に言い換えれば、奴隷は生かさず、殺さず。無知で優秀な若者をいかにやる気にして搾取するかという事が上手になった柳井氏は、まさに「良いオーナー」としてユニクロを飛躍させました。

2002年の時点でNikkeiBPの記事の中で柳井社長は、60歳での引退を次のように表明しています。「僕は以前から60歳までに経営から離れると公言してきた。企業経営には並外れた体力や気力、集中力が求められるから、年齢的に60歳が限界だと感じていたからだ。経営者として現役を続けられるのは残り数年だ。自分の卒業前に後身を育成して経営力を強化したかった。しかし、柳井社長が60歳に近くなるにしたがって、その物言いは「60-65歳で引退する」という形で5年ほど延長されていました。そして、柳井社長が60歳を目前にすると、「65歳で引退する」と完全に5年をあっさり成し遂げました。つまり、社長という地位にしがみついて、もっと経営をやっていきたいのですね。

ユニクロの業績が良いのは、1980年に売り上げ1兆円を達成したダイエーと似ています。中内功というカリスマが存在して、安さを追求する百貨店の手法は多くの人から支持を集めました。しかし、時代の流れ「日本の地価の崩壊」によってダイエーの業績は窮地に陥る事になります。このままワンマン社長が君臨すれば、ユニクロもいずれはダイエーの二の舞になる事は明らかです。何故ならば、ユニクロのビジネス自体のリスクは、自社生産で最初から最後まで行うモデル(SPAモデルやファーストファッションモデルと呼ばれる)を使っており、このモデルにおけるリスクの取り方は決して低いものではないからです。

ただし、柳井社長によれば「蓄えは十分で、簡単に潰れない」という事です。バブル時代の蓄えを基にして生き残っている日本企業を見ると、それは事実なのだと思います。ファーストリティリングは簡単には潰れないでしょう。しかし、私がここで描き出すユニクロの姿は、投資不適格な企業になる理由としては十分です。

NikkeiBPNETによると、2002年4月初旬にユニクロは、沢田貴司副社長に社長をやるかやらないかの最終決断を迫っています。柳井社長は、2002年5月はじめには、沢田新社長の方針で発表すうる方向でいたそうです。しかし、沢田氏は自身の会社を持つ事にこだわって、5月末での退任をきめました。彼の年齢は44歳になっており、夢を追うにはぎりぎりの年齢と考えたという人も居ます。

沢田氏は、沢田氏は90年代前半に伊藤忠商事社員として米国に駐在した経験などを活かして、1997年5月に伊藤忠商事からファーストリテイリングに転じて以来ユニクロに尽くしてきた功労者でした。NikkeiBPNETの記事によれば、1年後には次期社長にという方針を伝えられていたという事です。しかし、結局はユニクロの社長をやる事はありませんでした。何故、沢田氏は昇格となる社長の椅子をつかまなかったのでしょうか。それは、柳井社長が会長職に留まって決定権を持てば、実際に何も変わらず「経営責任だけを全面的に負わされる」事を避けたかったのだと私は思っています。

大方の予想通りに、柳井社長は業績悪化の経営責任のような形でに会長に退く事になりましたが、CEO(最高経営責任者)を兼ねて、ほとんどの決定権を握ったままでした。社長に就任した玉塚君は、社長兼COO(最高執行責任者)という事で、経営の決定権は無いままに執行だけを専門にする社長に就任しました。後にこの玉塚氏も自分の会社を立ち上げる為にファーストリティリングをあとにします。

柳井氏が会長になった場合には、社長に就任する沢田氏は手柄を横取りされるのに、責任は押し付けられるという事になりかねません。これは、ワンマン社長などの組織に良くある事であり、1部上場企業であるにも関わらず、オーナーと経営者が全く同じという欠点を大きくさらけ出した形となりました。このような形態は、一点のみに決定権が集中するので、好ましい形態とはとうてい考えられません。

一橋大大学院や米ハーバード・ビジネススクールなどと提携して、国籍にこだわらず、200人の経営幹部を5年間で育てる計画という事ですが、育てたいのはユニクロ生え抜きでユニクロに従順な「良くて参謀」程度の幹部であり、やっぱり大将はいつまでも柳井社長さまでありたいはずです。利益を多く得るという事は、巨大なリスクを後ろ側に背負っている事を忘れてはいけません。投資家はそうしたリスクに敏感になるべきで、ファーストリティリングに投資する事は短期、長期で見てもとてもお勧め出来ません。

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このブログ記事について

このページは、ヒロポンが2009年10月 9日 23:48に書いたブログ記事です。

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