不況でも生き残る日本企業の秘訣は技術

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昨年の業績に対する株主総会の時期になっており、各地で株主向けの株主総会や証券会社・アナリスト向けの説明会が開催されています。2008年度は、9月にリーマンブラザーズの破綻を契機として世界的に景気が急速に悪化しました。業績が急速に悪化する企業が相次いでおり、輸出を中心とした日本企業も相当なダメージを受けています。
業績が急速に悪化する日本企業に対して、物言う株主として知られる外資系ファンドなどは、経営陣交代などを求めています。例えば、かつらの最大手のアデランスなどは、業績低迷も受けてひどい事になっています。2009年5月28日に開催されたアデランスホールディングスの株主総会では、現経営陣が提案した取締役人事案が否決されて、筆頭株主の米投資ファンドであるスティール・パートナーズがした取締役7人の選任が承認されました。

株主総会前にユニゾンが1株1000円でアデランス株を買い取って、アデランス株の約35%を握った上でアデランスに数名の取締役を送り込むというものでした。更に株主総会直前になって1株1200円まで引き上げましたが、これを支持する現経営陣提案の取締役人事案はあっけなく否決されました。これを受けて現社長を務めていた早川清氏の社長退任が決定しました。

スティール・パートナーズは、04年10月から買い増しを進めており、現在ではアデランス株の約27%を保有する筆頭株主となっています。株主になってから既に5年を経ていますが、未だに売り抜ける事が出来ずにいます。それは、スティール・パートナーズの平均所得価格は2700円前後となっており、現在の株価(1100円-1200円の間)とは乖離しているからです。

スティール・パートナーズから株主に宛てたメッセージは次のようになっています。

スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、エル・ピーからの重要なお願い
私どもの高い資質を持った取締役候補者の、株式会社アデランスホールディングスの取締役への選任議案に賛成していただきますよう、お願いいたします。
惑わされないでください。ユニゾンキャピタルグループの提案する公開買付けは企業価値を向上させるものではありません。

平成21年5月14日
株主の皆様
スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、エル・ピー(「スティール・パートナーズ」)は株式会社アデランスホールディングス(「アデランス」)の発行済株式の26%以上の株式を保有する筆頭株主であり、5年間同社の株主です。長期的株主である私どもと、株主の皆様の利害は一致しております。
株主の皆様には、私どもにご支援を賜り、ユニゾンキャピタルグループ(「ユニゾン」)の提案する公開買付けを拒絶し、アデランスが平成21年5月28日に開催する第40回定時株主総会(「本総会」)において、以下の通り議決権を行使していただきたいと考えております。
第3号議案(会社提案にかかる候補者(「会社候補者」)の取締役選任)に反対してください。
第5号議案(アデランスによる自己株式の応募)に反対してください。
第6号議案(私どもが提案している候補者(「私どもの候補者」)の取締役選任に賛成してください。
アデランスの支配権を獲得するに際し、ユニゾンは、プレミアムを支払うどころか、わずか1,000円を公開買付価格として提示していますが、これは平成21年2月28日時点の一株当たり純資産額1,582円よりも大幅に低く、平成21年4月15日以前の過去1年間のアデランス株式の終値平均より約25%も低いものです。そのため、かかる公開買付けに応募することは、自らの財産の一部をユニゾンに無償譲渡するようなものであり、損害をこうむるでしょう。
・ユニゾンの公開買付けは、ユニゾン代表3名の取締役選任を通じ、ユニゾンがアデランス取締役会の支配権を獲得できることが条件とされています。しかし、ユニゾンの公開買付けが開始されず、又は不成功の場合は、ユニゾン代表3名は取締役を辞任します。ユニゾン代表3名が取締役を辞任した場合、株主に残されるのは、真の意味での株主代表を含まない取締役会と、アデランス改善のために必要な変革を行うことができないと既に実証されている経営陣だけです。意味のある経営改革と会社再建を行うためには、アデランス取締役会が、真の意味での株主の代表により構成されることが必要です。
・現経営陣がユニゾンの公開買付けを推奨するのは、自己の地位を保全するためです。なぜなら、アデランス経営陣には、かかる廉価、かつ、強圧的条件での公開買付けを推奨する合理的な業務上の理由はないからです。
自己株式の応募は、既存株主の持分の希釈化を招き、かつ強圧的であり、アデランスと株主の皆様双方に損害をもたらします。
・アデランスが自己株式を一株当たり1,000円で応募することは、既存株主の持分を希釈化させ、また強圧的なものです。なぜなら、株主の皆様がアデランスに対し、約290万株(発行済株式の約7%相当もの株式)を、ユニゾンに対して一株当たり純資産額から大幅にディスカウントされた価格で売却することを認めない限り、ユニゾンは公開買付けを実施しないからです
・アデランスが現在保有する現金・有価証券は約200億円にも上り、さしたる負債はありません。アデランスに資金調達の必要はないのです。
・ユニゾンの公開買付けに応募しない株主は、(a)アデランスが自己株式をユニゾンの公開買付けに応募することで持分が希釈化され、また、(b)応募価格が一株当たり純資産額より低いため、実質的にはアデランスによって既存株主の財産の一部をユニゾンに無償譲渡されるのと同様であり、損害をこうむります。アデランスが一株当たり純資産額より低い価格で自己株式を応募するのは、既存株主の犠牲のもとに、ユニゾンの便宜と、従来の経営陣の自己保全を図るためなのです。
ユニゾンの公開買付けに伴うコスト、リスク及び不確実性にかんがみ、株主の皆様におかれましては、会社候補者の取締役選任(第3号議案)及び公開買付けに対する自己株式応募(第5号議案)に反対票を投じて、このようなユニゾンの公開買付けを断固拒絶していただきたいと思います。アデランス株式を、一株当たり純資産額のわずか63%の価格でユニゾンの公開買付けへ応募などせずに保有し続ければ、株主の皆様はアデランスへの投資を継続することができ、株主であり続ける限り、将来アデランスの企業価値・株主価値が高まった場合はその利益を共有することができるのです。

1989年に創業した鉄鋼のミタル・スチール(現在はアルセロールと合併してアルセロール・ミッタルとなっている)は、自社で鉄鋼の高炉を全く建設する事無く拡大してきた会社です。海外で経営危機に陥った会社を買収して、買収後にリストラなどを断行して経営の建て直しを図ります。これで自社の時価総額を高めた上で、それを担保に買収するという手法を繰り返して、会社の規模を急速に拡大させてきました。

ただし、ミタル・スチールの欠点となっていたのは、経営危機に陥った会社を吸収する手法では、高度な技術は得られにくいという点です。安くなっている会社というのは、それだけ価値が落ちているという事でもあり、高度な技術を持っていない場合がほとんどでした。そこで、ミッタル・スチールは高度な技術を持っているヨーロッパの企業であるアルセロールの買収を試みて成功させて、世界最大の企業となりました。

日本の新日鉄は、世界に進出した日系自動車メーカーなどの要望があって、旧アルセロールにもハイテンなどの高度な技術供与を行っていました。しかし、旧アルセロールが外部者に乗っ取られた事によって、技術流出の危機を迎えています。日本は、鉄鋼の技術水準が高いので、他社に真似された場合には、急速に競争力を失う可能性があります。

例えば、中国などで行っている自動車用鋼板の製造・販売合弁事業「宝鋼新日鉄自動車鋼板有限公司」(BNA)は、宝鋼50%、新日鉄38%、旧アルセロール12%の共同出資で設立されています。将来1000万台を超えると予想される中国の自動車生産に対応して、日系、欧州系自動車メーカーを中心に高度な技術の鉄鋼を供給する狙いがありましたが、旧アルセロールがミタル・アルセロールとなった事により、技術流出の危険は更に高まったと見る事が出来ます。

2007年12月19日には、新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社が株式持合いを強める事を発表しています。住金に対する新日鉄の出資比率は約5%から約9・4%に上がり、事業会社では住友商事(約7・5%)を抜いて筆頭株主となりました。また、住金の新日鉄への出資比率も約1・8%から約4・1%となり、韓国鉄鋼大手のポスコ(3・5%)を超え筆頭株主となっています。

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このブログ記事について

このページは、ヒロポンが2009年6月25日 20:30に書いたブログ記事です。

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