2008年9月の金融危機が起こる前までは、先進国の金利がいずれも高い状況となっていました。空前の好景気とされて、日本以外の全ての先進国の金利が高い状態を維持していました。先進国で唯一金利が低かったのは、日本でした。日本の金利はゼロ金利政策が継続されており、その結果として円キャリートレードなどが盛んに行われて、円安となりました。
本来は、日本の景気を回復させようと思ったのであれば、金利を上昇させる事によって海外からの資金を誘致するべきだったのかもしれません。しかしながら、日本の金利はとにかく低い状況が維持されてきました。この金利が低く維持されてきた理由に関しては、金利を上昇させた場合には、円高が輸出企業に打撃を与えるので、景気後退の引き金となると言われていました。これに関しては、輸出を主導している日本経団連などが、金利の上昇が利益を削ぐとして許さなかった可能性もあるのではないかと考えています。
ゼロ金利政策というものが継続された背景には、日本の経済状況がそこまで悪かったからではなく、日本の経済を支える輸出産業がそれを望んだから起きた事だと思うのです。日本の景気回復の方法には幾通りかあったと思いますが、結果的に日本政府の方針として、輸出産業主導の景気回復の方向を選択しています。
低金利で大量の安定資金調達が出来る国家というのは、日本以外に考えられませんでした。
低金利の日本から思い切って資金を借り入れて、高金利で好景気の欧米に資金を投下する手法は、円キャリートレードとしてもてはやされました。多くのファンドが円を売ってドルを買うポジションを持っていただけではなくて、ミセスワタナベのように日本の個人投資家も高金利を求めて、FXの投資を活発化させていきました。何を隠そう、私もそこでFXで海外投資を行っていた1人です。
通常の経済学であれば、自国の金利が高い状況にあると、資金供給は制限されます。しかし、アメリカの場合には、自国の金利が高い状況にあるにも関わらず、日本の金利が思いっきり低い状況にあったので、アメリカの金利上昇は何ら効果を発揮しませんでした。グリーンスパン議長は、短期金利を上昇させたのに長期金利が上昇せず、FRBが経済をコントロール出来なくなってきている状況を「謎」と表現しました。アメリカにある銀行は、アメリカ以外の場所で低金利で資金調達が可能であり、アメリカの銀行自体も金が余っていました。日本の低金利政策がアメリカで住宅バブルが出来た元凶ともなっている可能性があるのです。
住宅バブルが崩壊して、リーマンブラザーズの破綻を契機としたアメリカ発の世界金融危機によって、アメリカもゼロ金利政策をとる事になりました。また、先進国各国も金利を低めに取っており、例えばイギリスなどでは英銀行設立以来で最も低い金利を記録しています。このような低金利状況においては、先進国はお金を集めるのは難しい状況にあります。
コメントする