中国人民銀行は15日、金融機関に対する貸出金利を16日から引き下げると発表しました。1年物の貸出基準金利は、0.27%引き下げられて7.20%となります。中国はここ数年一貫して利上げを行ってきており、利下げが行われるのは、6年7ヶ月ぶり(2002年2月以来)となります。これと同時に預金準備率の引き下げについても発表が行われ、大手国有銀行(5大銀行と郵便貯蓄銀行)以外に対する預金準備率が25日から現在の17.5%から16.5%に引き下げられます。預金準備率の引き下げは、8年10ヶ月ぶり(1999年11月以来)となります。
15日の上海・深セン・香港市場は中秋節休暇でいずれも休場でしたが、中国政府が突然金利引き下げを行ったことは、日本およびイギリス、アメリカなどの海外メディアほとんどにおいて「市場はこの利上げに驚いている」と伝えられています。ほんの半年ほど前までは、中国の金利は「低すぎる」と言われたほどで、利上げすべきだとされていた事が要因であると思います。この中国政府の柔軟な経済政策には書いている私自身も驚いています。
中国が金利を下げた理由は、いくつか考えられます。先ず、この発表があった15日にリーマンブラザーズが破綻が決定した事によって、米国の更なる経済失速が懸念されて、米ドルが下落している点です。米ドルが下がれば、相対的に考えて人民元高となってしまうので、中国の経済を支える輸出産業などが打撃を受ける可能性があります。中国における8月の輸出は前年比21.1%と7月の21.9%から顕著な減速がみられており、利下げによって中国経済を支える輸出産業を支えていく狙いがあると考えられます。
また、銀行への貸出金利を低下させる事によって、不動産ローンなどの金利も低下してお金を借り易くなるので、中国国内の不動産産業にもプラスの影響があると考えられます。この他にも下落を続けている株式市場について、金利が下がる事によって銀行からの借り手が銀行にお金を預ける意味が低下する事が考えられるので、株式市場にお金が流れやすくなり、一方的な下落を続けている上海・深セン・香港株式市場いずれにとってもプラスの材料に受け取られる可能性があります。
最近の中国政府は、利上げする事に慎重な姿勢をとっており、預金準備率を上昇させる事で経済をコントロールしようとしてきました。結果として預金準備率は2006年中旬頃からどんどん上昇し、17.5%まで達していました。一方の金利の方は、利上げに対しては慎重な姿勢をとってきたので、金利はGDPなどに見られる経済成長率に対して低い水準に保たれてきており、2008年に入ってからは7.47%で動いていませんでした。
一方で、私は金利を下げる事によって経済を刺激しすぎるのでは無いかとの懸念も捨て切れないと思っています。日本においてもプラザ合意を受けた円高によって輸出企業が打撃を受けるのを防ぐ為に景気刺激策を行ったことが結果的にバブルに繋がったとも言われています。景気を刺激しすぎる事によって、経済バブルを生み出す懸念もあります。特に不動産を含む固定資産の動向には注意が必要だと感じます。しかしながら、実際の中国株式市場を見ると香港も中国本土市場もバブルどころか大幅下落しています。この状況においては、利下げして株式市場にお金を流す事に合理性があったと言えます。もしかすると、中国政府はこの状況を待っていたのかもしれません。
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