日本から中国への耐久消費財輸入を考える
何故、日本車がアメリカ車より売れるかと言えば、ひとつはアメリカがトラックなどの大型車を得意とするのに対して、日本は乗用車を最も得意分野としており、最近の原油高などによって燃費の良い小型車の人気が高まった事が最大の原因と言われています。日本車は、北米で大人気のトヨタのプリウスに代表されるように、燃費が非常に良い事が人気となっており、燃費の良さを生み出す技術は世界でトップレベルと言われています。以前であればそれほど気にされなかった「燃費」が消費者に認識される事によって、僅か10年でシェアは入れ替わりました。問題は、このような事が別の消費財に当てはまるかどうかという事です。
この10年で日本の経済が「回復基調にある」という事が言われていたのは、海外において日本車に代表される日本製品の売り上げが大きかった事にあります。企業が日本の若者を積極採用する理由も良く分かります。逆に、中国においてパソコン、デジカメなどの耐久消費財が日本に輸入されるようになってきています。日本への輸出割合を見ても、2000年には30%前後であった機械製品の出荷は、2008年には45%にも増加(財務省資料より)しています。安い中国の労働力を考えても、この割合が更に増える可能性は十分にあるでしょう。
自動車は、耐久消費財として10年間保有する事を考慮すると、高額であったとしても燃費の方が考慮される事情は分かります。米国におけるプリウスの場合には、あまりの人気から新品と同じ価格で中古車が売れるという奇妙な事態まで発生していました。しかし、ここ数年でパソコンやデジカメ、液晶テレビの方は購入した時点で既にその価値は半減してしまうばかりでなく、1年使えば市場におけるその価値はほぼ失われると言っても過言ではないでしょう。一定の技術の確立によって減価償却期間は急速に短くなってきています。
高額な商品を買ったとしても、減価償却期間の短さから直ぐにその価値を失うのであれば、人々の消費行動はどうなるでしょうか?先ず、更に高性能のものが出るまで買うことを先延ばしにするか、リースするか、安い商品をとりあえず手に入れるかという選択肢を考えたくなるものと考えられます。消費者は、高額商品に対して「買い控え」を起こすようになるので、上位メーカーは苦労する事になります。国内シェアトップであるNECの値上げ発表は、こうした厳しい状況を受けての事だったと考えられます。実は、自動車においてもこの状況は発生しており、消費者信頼感指数を見ても2000年以降に景気が比較的良かったにも関わらず、自動車の購入計画は一貫して減少しています。「減少したパイを奪い合う」という状況が発生していた事が分かります。
今後のパソコン、デジカメ、液晶テレビなどの市場における競争は、中国などの技術確立が更に進む事によって、一層の価格下落が進むものと考えられます。現在は、中国から日本への輸入割合の中には、逆輸入のような形で日本メーカーのものが逆輸入される割合が少なからず含まれていると考えられます。しかし、パソコンやデジカメなどの市場では、既に中国系企業も技術が少しずつ確立され始めており、アメリカの象徴であった自動車産業が燃費の良い日本車に奪われのと同じように、10年以内に技術の成熟による中国の工業製品が日本の市場に食い込んで来てもおかしくないと考えています。
アメリカ:低迷の続く自動車販売(内閣府)
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