【特集】アジアメディア上場廃止の検証-第二回

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見逃された上場前の奇妙な資金の流れ

アジアメディアは、2008年6月に最高経営責任者(CEO)の崔建平氏による資金流用が発覚した事で、同年9月20日付けで東証の上場廃止が決定されました。CEOであった崔建平氏による資金流用は、上場時点で既に行われていたにも関わらず、あずさ監査法人や東証はこの資金の流れの詳細を把握していなかった可能性があります。しかし、この資金流用を行う以前の2002年頃には既に崔建平氏が運営する会社に関する資金に奇妙な資金の流れがありました。先ずは、その奇妙な資金の流れについて追っていきたいと思います。

アジアメディアの資金流用事件においては、北京海豚科技発展会社という会社が関係していたという事が分かっています。北京海豚科技発展会社は、同社HPによると崔建平氏が清華大学時代に同級生と1030万元(約1億5千万円)を基にして創業したIT企業です。1998年に崔建平氏は、北京海豚科技発展会社の経営拡大を理由にして600万元(およそ1億円)の増資を行う事で同社の最大株主となっており、この時点において実質的な会社の保有者でした。2002年4月に崔建平氏はアジアメディアを設立します。2004年7月20日には、設立したアジアメディアの登記上の住所を現在の場所に移しています。その後の2004年10月に海豚科技術の代表取締役を辞職します。

2003年の宏智科技(現新智科技)の株主名簿によれば、同社の株主に海豚科技第二位の株主であり崔建平氏の実姉である崔延平氏の名前があり、43.4(約0.4%)を保有していたという事です。この時点において崔延平氏(実妹)は、海豚科技の財務主任(財務最高責任者)を兼任しており、既に宏智科技(現新智科技)と海豚科技の2社の関係があった事が分かります。2003年の株主大会の法律意見書(2005年1月:この大会は2004年6月に開催される予定であったが、法人統治の問題などによって期限どおりに開けなかったので2005年1月に開催された)によると、王棟氏がこの時点で1983.8万株(全体の18.03%)を保有しておりトップの株主となっており、李少林氏が1736.7(全体の15.79%)で第二位の株主になっています。これは2003年の決算報告でも確認できます。

実のところは、ずっと宏智科技の大株主であった王棟と李少林が共に海豚科技に関わっていた事が分かっています。中国の報道によれば、2003年の株主総会の席において、当時最大株主であった王棟氏が海豚に520万元(8000万円)を貸すように要求して、2003年7月23日に確かに520万元の貸付が行われています。また、少なくとも2005年時点において李少林氏が海豚の第二位の株主であった事が分かっています。崔建平氏は、2004年10月に海豚科技術の代表取締役を辞職しており、これと同時に実妹の崔延平も宏智科技の株式名簿から姿を消します。

2005年8月に上海証券取引所の要求で湖南投資信託有限責任会社が公表した資料によれば、湖南投資信託有限責任会社が宏智科技の第二位の株主である李少林氏から海豚科技の1106.7万株を買いとって、海豚科技の10.06%を保有した事で第三位の株主になっています。2005年末の決算資料では、海豚科技が新智科技に負っていた負債額は、2205万元(およそ3億5千万円)に達していますが、2006年新智科技の報告書ではこの負債は消えています。しかし、2007年新智科技の報告書で再び4305万元(およそ6億5千万円)の負債が発生しています。

2007年12月24日になって宏智科技が発表した資料では、宏智科技(現新智科技)が海通証券会社に預けていた口座から「消えた資金」を巡った民事裁判に決着が付いています。ここで宏智科技(現新智科技)、海通証券中関村営業部、海豚科技の3者による民事調停の和解が成立しました。いつの間にかどこかに消えてしまった3400万元の資金のうちで、その3分の2にあたる2100万元を何故だか海豚科技が(現新智科技)に返しますという和解の内容で決着しました。ここにおいて、海豚科技が資金返済を行う義務が法律的にも生じてきます。それでも、私はこの時点ではまだ猶予はあったのだろうと考えています。

しかし、状況は宏智科技に起こった変化によって一変します。2008年5月に宏智科技は上海華麗家族に吸収合併されてしまいます。この吸収合併によって、今までの宏智科技も名前を変えて華麗家族株式有限会社になります。この華麗家族株式有限会社の第一大株主は、上海南江集団であり57.36%を保有する圧倒的な株主でした。新しい大株主が入ってきた事によって、海豚科技は更に借金をするどころか、すぐさまお金を返す必要が生じてきました。海豚科技がお金を返す必要が生じたので、崔建平氏はアジアメディアの資金を担保にして、銀行からお金を借り入れます。

参考までにSina財経の記事では、以下のような推測が成されています。崔建平氏がコントロールしている海豚科技は、王棟氏の宏智科技での権力基盤を作る為に宏智科技の株式を(王棟氏の名義で)大量に購入したのです。見返りとして、王棟氏は自分の持っている株式を崔建平が抵当として入れることを許可していたというのです。海豚科技は、宏智科技の株式を銀行からの借金してまで購入しており、その権力基盤を使って宏智科技から資金を借り入れて銀行に借金を返済するなどの行為をしていたといいます。簡単に言えば、海豚科技に借金をさせたふりをさせて、実際に借金をしていたのは宏智科技という状況を作り出そうとしていました。しかし、この状況は新しい株主登場によって借金が海豚に残る状況を生み出します。

ここで私が感じた疑問は、崔建平氏が何故アジアメディアの株式を手放して資金返済に充てなかったのかという事でしょう。また、王棟氏の株式を抵当に入れて資金を借りる事が出来なかったのかどうかも疑問が残ります。先ず、一つ目についてはアジアメディアの株価が安すぎて、海豚科技の借金を返す程度にしかならなかった可能性があります。また、王棟氏の株式は既にほとんどが売られてしまった可能性があり、抵当に入れる事が出来なかったのかもしれません。

2003年宏智科技株主大会法律意見書
http://download.hexun.com/ftp/pdf_stockdata/2006%5C12%5C06%5C20061206_183509_867.pdf

湖南投資信託有限責任会社の公表資料
http://download.hexun.com/ftp/pdf_stockdata/2006%5C12%5C07%5C20061207_141339_797.pdf

ST新智科技決算報告書
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2003年宏智科技報告書
http://www.china.com.cn/chinese/ch-2004nb/hh/pdf/14012073.pdf

新智科技2005年半年度(ST新智)
この時点で海豚科技の名は見当たらない
http://www.cninfo.com.cn/finalpage/2005-08-31/15868952.PDF

2005年新智科技への負債額:
23ページ、31ページの海豚科技の負債額による)
http://www.cninfo.com.cn/finalpage/2006-02-18/16459023.PDF

2006年の報告書ではこの負債は消えています。
http://download.hexun.com/ftp/pdf_stockdata/2007%5C01%5C26%5C20070126_094009_320.pdf

2007年新智科技に負っている負債額は、4305万元(およそ6億5千万円)に増加している事が分かります。
http://www.cninfo.com.cn/finalpage/2008-04-19/38935373.PD
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(華麗家族2008年半年度報告より)
http://share.jrj.com.cn/pdf/cominfo/CN_DISC/STOCK_TIME/2008/08/01/600503_nb_41755325.PDF

新智科技
http://www.wholewise.com/

アジアメディア
http://www.asiamedia.jp/

アジアメディアニュースリリースの担保
2008年7月18日20,000,000 人民元(約312,012,480 円)
http://www.asiamedia.jp/jp/news/press_release_July18_jp_cl_TSE.pdf

アジアメディアニュースリリースの担保
平成20年7月25日15,000,000人民元(約235,800,000円)
http://www.asiamedia.jp/jp/news/press_release_July25jp%20clean_TSEcl.pdf

考察参照:sina財経
http://finance.sina.com.cn/stock/y/20080805/16415169848.shtml

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このブログ記事について

このページは、ヒロポンが2008年8月24日 18:10に書いたブログ記事です。

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